徹底ガイド【設計打合せ編】後悔しないマンションリノベーションの進め方


自宅リノベ体験談 ✕ 一級建築士 ✕ 宅建士
住宅購入は多くの人にとって、人生最大の買い物になります。
自分の願いを反映した住宅をきちんと作るには、設計士との打ち合わせが欠かせません。
設計打合せは、家づくりにおいて重要なセクションになります。
下記のような気持ちを持つ人は、途中まで良かったですが、後悔する可能性が高いです。
- 「設計打合せはリノベーション会社に任せればいい」
- 「良いリノベーション会社と担当者を見つけたから、あとは大丈夫」
あなたはお客様でありますが、当事者になります。
あなた自身の積極的な行動は、マイホーム作りの最低条件です。
特に建築業界は施主・設計・施工が三位一体となってプロジェクトを進めることが良い建物を作る秘訣です。
- 設計打合せで進め方、やるべきことを理解する
- 何を設計者に求めるべきかを理解する
- 効率よく打合せを進めるコツを理解する
設計打合せを理解して行うことで、良い間取りになることは間違いありません。
購入者目線での記事となっておりますので、ぜひ最後までご覧ください。
設計打合せは何をするのか?

リノベーションの設計打合せでは、間取りや内装、設備などの仕様を決めていきます。
その内容を基に見積を作成してもらい、工事着工になります。
リノベーション作りにおいて、1番盛り上がるセクションになります。
そして、2回目の「予算がない」と思う場面です(1回目は物件探しの場面)
良いリノベーション会社と巡り会えた人は、油断しないでください。
第一弾階を突破した段階ですので、ここからの打合せではより良いものにしていきましょう。
心構え(忘れてはいけないこと)
ここでは心構えの話です。
私の建設業界での経験を基にしております。
建築士の意見には意味があります。
まずは意見を聞きましょう。
当然、すべてに従う必要はありませんが、まずは意見を聞いて、議論することが必要です。
お互いの意見を尊重することで、より良いマイホームは実現します。
建築士法に「建築士は常に品位を保持し、法令や実務に精通して公正かつ誠実に業務を行う必要がある」と記載されています。
設計士はとても誇りを持って設計をしております。
施主(あなた)のために最大限の力を発揮してくれます。
「やる気のある施主」と「人任せの施主」なら、「やる気のある施主」に力を注ぎたいのが心情です。
人とはそういうものであり、設計者は何件ものプロジェクトを抱えています。
設計者をいつも以上にやる気にさせることで、より良い提案をしてくれるのは間違いありません。
リノベーションと注文住宅の設計打合せの違い

- 打合せ回数の違い
- 工事着工までに仕上げを確定させる必要がある
リノベーション | 注文住宅 | |
---|---|---|
工事期間 | 1.5〜3ヶ月 | 4〜6ヶ月 |
打合せ回数 | 5〜6回 | 10〜15回 |
注文住宅の場合は、着工をしても基礎や骨組みを作る躯体工事を行い、着工時にも設計と打合せをしている場合もあります。
リノベーションは解体をしたら、着工となります。
できている箱の中に工事をしていくので、テンポが速いです。
注文住宅と違い、敷地内での配置や外装工事がないため、決めるものも少ないため、打合せ回数も少なくなっています。
そのため、実際に設計者と打合せする回数が少ないので、意思疎通を図る必要があります。
リノベーションの設計打合せは5〜6回

設計打合せは、一般的に2週間に1回の打合せになります。
5〜6回の打合せで2.5〜3カ月かかります。
今回の記事の内容を実践しないと、5〜6回では終わりません。
「打合せの回数が増える→着工が遅れる→費用が増える」です。
「スケジュール管理の重要性」の記事を執筆中です。

設計打合せの流れ
- ショールームの見学
- 自分の要望をまとめた資料作成
スケジュールの確認
- 営業からの引継ぎができている確認
- 引渡しまでのスケジュールの確認
- 要望通りになっているか確認
展開図、天井伏図の打合せ
設備機器の仕様の確認
- 図面修正、新規図面の確認
- コンセント、スイッチ、照明配置の確認
- キッチン、浴室、トイレ、洗面台の決定
- 主に最終の色決め
- 床材やクロスの品番の決定
- コンセント、スイッチのカバー位置、照明配置の確認・決定
金額が合意すれば、詳細打合せはここで終了
内容が問題なければ、最終の契約を行う
設計打合せの事前準備

初回の打合せだから、手ぶら行く人は失敗する可能性が非常に高いです。
まずは、下記の4点を準備しましょう。
- 理想のイメージ写真を集める
- 現状の住まいの困っていることをリスト化する
- 優先順位を決める(要望を伝える準備)
- 決まっている寸法があれば伝える
「設計打合せ事前準備編」の記事を執筆中です。

1回目 購入者の要望ヒアリング・スケジュール確認

1回目では、設計者のヒアリングとスケジュール確認の回になります。
「担当営業からの引き継ぎができているか」や「スケジュール」の確認になります。
優先順位を明確にする
優先順位を明確にすることで、お互いの意思疎通ができます。
設計者も「今回の施主はここを気にしている」など押さえどころを理解してくれて、スムーズに進みます。
【体験談】私の場合

私の場合の優先順位は下記になります。
- キッチンを第一優先に考える
- フローリングにこだわりたい
- 愛猫のスペースを取りたい
+αとして、予算はブレないようにしたい
そのため、そのため、設計打合せ前には、ショールームの見学に力を入れました。
下記は「ショールーム」についてまとめた記事です。ぜひご覧ください。

スケジュール確認
「○月下旬に入居したいので、それに合うように進めたい」と再度、意思表示をしましょう。
万が一、担当営業が設計者に伝えたい可能性もあります。
本来、スケジュール管理はリノベーション会社が行うものですが、適切にされているかを確認する必要があります。
知らない分野において「こういうものです」と言われてしまうと、納得してしまいますので、安易に騙されないようにしましょう。
「スケジュール管理の重要性」の記事を執筆中です。

2・3回目 図面での打合せ、設備機器の仕様の確認

図面での打合せ
設計者が書いた図面を使っての打合せになります。
「ここのスペースを広くしたい」や「コンセントの位置はここに移動したい」など、より具体的な打合せになります。
前回の打合せ内容が反映されているかを確認する必要があります。
設備機器の仕様の確認
ショールームに行って決めて仕様の確認をします。
自分で行った決めたものが反映されているかの確認になります。
- 色・素材の確認
- オプションの確認
【特に注意するべきこと】
- 途中で変更したものが訂正されているか
- リノベーション会社へ最新版が送付されているか
下記に「ショールーム見学」について詳細をまとめた記事です。ぜひご覧ください。

4回目 仕上げ材の確認

主に最終の色決め
クロスから部屋を決める人は少ないと思います。
最後に決めるのがクロスです。
クロスは無数に種類があるので、ある程度は設計者のセンスに任せましょう。
希望としては、色合いくらいで良いかと思います。
その中から決めていく程度でよいです。
クロスの張り替えは、意外に簡単にできます。
また、生活をしていると、見てわかるレベルで劣化していきます。
寿命としては、5〜10年になりますので、最悪、気に入らなくてもダメージは少ないです。
クロスは決まっているものに合わせていくことが一般的です。
もちろん絶対にこの色にしたいという要望があれば、事前確認の時に言うべき内容になります。
- 絶対にグレージュのクロス
- 絶対に木目調のクロス など
5回目 最終図面と見積受領
最終図面と見積の受領になります。
ここまで打合せをした内容の反映版になります。
全てない内容が問題なければ、最終の契約になります。
契約といっても、以前に契約時に工事請負契約をしているので、変更契約になります。
「工事請負契約の注意点」の記事を執筆中です。
下記に「工事請負契約」についてまとめた記事です。ぜひ参考にしてください。

「見積の注意点」の記事を執筆中です。

【知っておくべき建築知識】図面の種類

ここでは、平面図、天井伏図、展開図の図面について説明します。
他にも建築に馴染みがない人には、小難しい図面もありますが、この3つの図面を理解できれば、家づくりには困りません。
平面図
建築設計において最も基本的な図面です。
間取り図に寸法が書かれています。
今の住まいとよく比べると、寸法が適切かどうかはわかります。
家具の配置で失敗すると、何のためにリノベーションしたのかわからなくなるので、決まっている家具がある場合は、必ず図面に書いてもらいましょう。
天井伏図
天井の仕上げや設備機器の配置を詳細に表現します。
照明の配置や天井の仕上げ範囲を確認します。
特に天井を表しをする人は、見えてくるものが多いので、よくチェックすることをおすすめします。
展開図
電気のコンセントやスイッチの位置、キッチンなどの住宅設備、エアコンなどの冷暖房機器の配置を詳細に表現します。
棚の位置やコンセントやスイッチの高さを視覚的にわかりやすく確認できます。
置きたい家具がある場合は、干渉していないかをよくチェックすることをおすすめします。
事前にわかっているものは、初回の打合せ時に、家具のレイアウトやサイズを伝えることをおすすめします。
点線で表示してくれますので、入居後のスイッチが家具の裏にきてしまうなど、地味にショックな問題がなくなります。

設計打合せでやるべきこと

昨今、建築業界は人手不足です。
請負者(設計者や施工者)の本音としては、「期限を伸ばせるものは伸ばしたい」です。
大変なんだなと思う人もいるかもしれませんが、「期限が伸びる=費用が増える」です。
各メーカーは値上げラッシュです。
「2025年4月1日以降の注文分からは、一律10%アップ」などはザラにあります。
住宅建材は元の金額が高いため、200万円のものが10%上がると、220万円になり、20万円もコストアップします。

あなたができることは、できるだけ早く決めて工事を着工させることです。
そのためには、下記の3点がポイントになります。
- 次回の打合せ内容を決める
- 期限を決める
- 前回の打合せ内容が修正されているかを確認
どれも難しい内容ではありません。
仕事をしている人なら、当たり前の内容ですが、プライベートになると忘れがちです。
次回の打合せ内容を決める
打合せ内容の確認をしましょう。
次回に照明の話になるなら、「選べる照明を聞いておく」や「スイッチのカバーの種類を聞いておく」といった具合に確認をして、予習したり、候補を選定しておきましょう。
これをしておくと、調べていくうちに疑問が生まれたり、違うことをしたくなることがあります。
次回の打合せまでに設計者に確認のメールをして、調べたりしてもらったり、サンプルを取り寄せることも可能になります。
期限を決める
いつまでに誰が何をするかを決めましょう。
- キッチンの仕様の決定について
- 私が来週水曜日までに○○さん(設計者)へメールをする
- 修正図面の直し
- 次回の打合せの2日前までに○○さん(設計者)がメールをする
これをしないと次回の打合せ時にこの内容を提出するところから始まります。
また、異なった場合には打合せ当日の内容が薄くなります。
注文住宅であれば、回数が多いためリカバリーできますが、リノベーションは異なるため、回数が増えていきます。
前回の打合せ内容が修正されているか確認
たまに打合せの内容が反映されていない場合があります。
「直っているだろう」で進めると、あとで取り返しのつかないことが起きます。
希望の寸法(サイズ)に関しては、致命傷になりますので、よく確認することをおすすめします。
設計者も人間ですので、間違えます。お互いに嫌な気持ちにならないためにやるべきです。
最終図でサインを求められた時に、違うと気づけば、まだよい方ですが、引越しをしてから気づいた時には手遅れです。
効率よく打合せを進める方法

効率よく進める方法は下記の2点です。
- 事前に資料をもらって打合せを行う
- 金額の概算を確認
事前に資料をもらって打合せを行う
「説明される場とせずに、質問する場」とする
前回の内容を次回の内容で確認することが多いですが、前日でもいいので、出来上がった資料をもらうようにしましょう。
1度目を通してから打合せをすることで、聞きたいことを整理して、有意義な打合せになります。
打合せの場は、「説明される場とせずに、質問する場」としましょう。
お互いに良い意見が出て、良いプランになっていきます。
金額の概算を確認
希望を加えていくと金額が膨大になっていきます。
特に当初なかったものを追加する場合には注意しましょう。
「ちりもつもれば」で、すぐに数十万円のコストアップします。
事前に予算を伝えた予算に対して金額の増減があるかは随時確認しましょう。
「設計打合せ【事前準備編】」の記事は下記です。ぜひご覧ください。

私の体験談

私の場合は、ある程度の金額感を都度教えてくださいと頼みました。
できない話を一生懸命議論してももったいないからです。
予算的にできないものは打合せをしないと決めました。
私は一時期、天井を木板張りにしようと思い、要望を初回の打合せで伝えました。
2回目の打合せ時に金額を提示してもらい、予算内に納まることがないと思い、諦めました。
【まとめ】設計打合せ編

それでは、おさらいになります。
設計打合せの「流れ」と「重要性」は、理解していただけましたでしょうか?
下記が設計打合せでやるべきことです。
- 次回の打合せ内容を決める
- 期限を決める
- 前回の打合せ内容が修正されているかを確認
あなた自身が普段仕事で意識して実践していることを実践するだけです。
効率よく進めると、あなた自身にも余裕が生まれ、より良いアイデアが生まれます。
効率よく進める方法は下記の2点を意識的に行いましょう。
- 事前に資料をもらって打合せを行う
- 金額の概算を確認
「良いマイホームを手に入れる=自発的に行動する」です。
人任せにしないことは重要です。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
リノベーションの魅力を発信しております。関連記事を読んでいただくと理解が深まると思います。ぜひご覧ください。
