【保存版】一級建築士が解説|マイホームに最適なフローリングの種類と選び方


自宅リノベ体験談 ✕ 一級建築士 ✕ 宅建士
フローリングは、部屋の印象を大きく左右する重要な要素です。
マイホームにこだわりたい方の中には、
「やっぱり無垢フローリングがいいのかな?」
と、なんとなく憧れを抱いたことがある方も多いのではないでしょうか。
深く考えずに選んでしまうと、
引渡し後や数年後に「やっぱり違ったかも…」と後悔してしまうこともあります。
フローリングは壁紙と違って簡単には張り替えられません。
家具の移動や費用面を考えると、簡単にはリフォームできないので、数十年と同じフローリングの上での生活が続きます。
だからこそ大切なのは、メリットだけでなくデメリットも理解した上で、自分に合った素材を選ぶことです。
この記事では、代表的なフローリング4種類の特徴をわかりやすく解説し、あなたにぴったりの選び方をご提案します。
フローリングの種類別の選び方
・挽板(ひきいた)複合フローリング
→予算に余裕があるなら挽板一択!質感と耐久性のバランス ※おすすめ
・無垢フローリング
→自然素材や経年変化を楽しみたい、無添加派のあなたに
・突板(つきいた)複合フローリング
→コストは抑えたいけれど、見た目にもこだわりたい方におすすめ
・シートフローリング
→とにかくコスト重視(寝室やバックヤードへの利用がおすすめ)
今回も「購入者目線」と「一級建築士目線」で、後悔しないフローリング選びのヒントをまとめています。
きっとあなたのマイホームづくりの参考になるはずです。ぜひ最後までご覧ください。
フローリングの4種類の解説
まずはフローリングの種類と特徴を知ることが大切です。
フローリングは下記の4つに分類されます。
見た目 | 特徴 | 価格帯(目安) | メリット | デメリット | バリエーション | メンテナンス性 | 経年変化 | 床暖房可否 | |
無垢フローリング | 全て天然木 | 一枚の木材そのまま使用 | 高い(1万〜2万円/㎡程度) | 木の香り・質感がリアル、調湿効果あり、経年変化が楽しめる | 価格高め、反り・伸縮あり、水に弱い、ワックス・メンテ必要 | 少ない | 定期的なワックスが必要、傷つきやすい | 色味や風合いが深まる | 一部対応製品のみ(反りに注意) |
挽板複合フローリング | 厚めの天然木(2〜4mm) | 表面に厚めの木材を貼った複合フローリング | やや高め(8,000〜1.5万円/㎡程度) | 無垢に近い質感、床暖房対応あり、安定性高い、全体バランスが良い | 価格やや高め、深いキズは修復困難 | やや少ない | メンテしやすく床暖房対応も | 木の風合いは変化するが無垢より穏やか | 多くの製品が対応 |
突板複合フローリング | 薄い天然木(0.2〜0.5mm) | 表面に薄い天然木を貼った複合タイプ | 中程度(5,000〜1万円/㎡程度) | 木目の美しさが本物、コスト抑えめ | 表面が薄いため削れない、キズに弱い | 多い | 基本的に掃除だけでOK | 薄いため変化は控えめ | 多くの製品が対応 |
シートフローリングル | 印刷された木目調シート | 木ではなく、プリントされたシートを貼ったもの | 安い(3,000〜8,000円/㎡程度) | 安価、水に強い、掃除がラク、色柄が豊富 | 木の質感がない、安っぽく見えることも | 非常に多い | 水や傷に強く掃除が楽 | 経年変化しない(色あせの可能性あり) | 多くの製品が対応 |


複合フローリングは、見た目は本物の木材ってこと?

そうだよ、木材をスライスしたものを張り付けているよ
無垢フローリング
無垢フローリングとは、天然の木から切り出した一枚板(無垢材)をそのまま床材として使用したものをいいます。

挽板複合フローリング
挽板複合フローリングとは、合板や集成材などの基材の上に、厚さ約2〜3mmの天然木を薄くスライスした「挽板(ひきいた)」を貼り合わせて作られた複合フローリングの一種です。

突板複合フローリング
突板複合フローリングとは、合板などの基材の上に厚さ約0.3〜0.5mm程度の薄くスライスした天然木(突板)を貼り合わせて作られた複合フローリングの一種です。

挽板・突板の違い

挽板・突板の違いが、わかりづらいな?

特徴は、挽板の方が表面材の厚みがあるので、高級感がでるよ
見た目とメンテナンスで考えると1番バランスが良いよ
ただし、コストは高いよ
突板は挽板と違い、木材表面のスライスが0.3〜0.5mmと薄く、木目の凹凸の表現が抑えめです。そのため、挽板と比べると安っぽく見えます。
最大のポイントは継ぎ目になります。下部の写真の右側を見ると、挽板の方が継ぎ目が深いことがわかります。この深さがあることで高級感が増します。
実物を見ると一目瞭然で、挽板の方が高級なフローリングだとわかります。
賃貸物件はシートフローリングか突板フローリングが多いので、賃貸住まいの人は見た目の違いに驚きを覚えると思います。

正直、写真だと判断しづらいので、ショールームに行くことをおすすめします。
シートフローリング
シートフローリングとは、合板などの基材の上に木目や石目などの模様を印刷した化粧シートを貼り合わせて作られた床材のことです。表面は天然木ではなく、樹脂フィルムや紙に木目柄をプリントしたもので、無垢材や挽板、突板フローリングとは異なり、本物の木目ではありません。

選び方のポイント


前項までで、各フローリングの特徴は理解できたよ

それでは早速選んでいこう
選び方のポイントは下記の3点だよ
・柄、色味(材質)、幅、塗装
・費用
・メンテナンス性
柄、色味(材質)、塗装、幅
フローリング選びは「見た目」が9割です。
まずは見た目(柄、色味、幅、塗装)からここから選びましょう。
大面積を占めるフローリングは、空間の印象を大きく左右します。
施工事例やSNSを見ながら、好みの色味や雰囲気を探してみてください。

リノベーションや注文住宅を考える方であれば、理想のイメージが頭の中にあるはずです。
それを設計者に「こんな床にしたいです」と伝えればOKです。
SNSで見つけた画像に品番が載っていればスムーズですが、わからない場合は設計士(デザイナー)に探してもらいましょう。
あわせてショールームに行くのもおすすめです。
カタログやサンプルでは伝わらない質感や色味の違いを、実物で確認できます。
下記は「ショールームに行くメリット」についての記事です。ぜひ参考にしてください。
≫≫【適切なタイミングと事前準備】ショールームに行って後悔しないリノベーション
個性を出すなら色味(材質)や柄
木には針葉樹と広葉樹の2種類があります。
針葉樹 (スギ、ヒノキ、マツなど) | 柔らかめで足触りが良く、断熱性・調湿性に優れるため、素足で過ごす部屋に適しています。比較的安価で加工しやすいのが特徴です。 |
広葉樹 (オーク、バーチ、ウォルナットなど) | 硬くて丈夫で傷がつきにくく、重厚感や高級感のある見た目が特徴です。耐久性が高い反面、価格はやや高めです。 |

樹種によって、色・質感・雰囲気がまったく異なります。
ここでは代表的な木材の特徴を紹介します。
樹種 | 参考写真 | 種類 | 特徴・用途印象 |
---|---|---|---|
スギ | ![]() | 針葉樹 | 日本全国に生育。柔らかく足あたりが良い。調湿性・断熱性に優れ、温かみがある。コストパフォーマンスも高い。香りも特徴的 |
ヒノキ | ![]() | 針葉樹 | 高級建築材。密で狂いが少なく耐久性が高い。芳香がありリラックス効果。価格は高め。 |
マツ (レッドパイン) | ![]() | 針葉樹 | 柔らかく温かみのある踏み心地。時間とともに色が深まる。形状安定性も良い。 |
ナラ (オーク) | ![]() | 広葉樹 | 硬くて丈夫。重厚感があり木目が美しい。耐久性が高く傷つきにくい。日本のミズナラも含む。 |
カバザクラ(バーチ) | ![]() | 広葉樹 | 明るく穏やかな木目。硬く傷がつきにくい。清潔感のある印象。 |
ウォルナット | ![]() | 広葉樹 | 中程度の硬さで重厚感のある濃い色合い。高級感があり人気。 |
クリ | ![]() | 広葉樹 | 硬くて耐久性があり、ナラに似た重厚感。 |
チーク | ![]() | 広葉樹 | 耐久性が非常に高く、水に強い。高級家具や床材に使われる。 |
この中でも、オーク(ナラ)、ウォルナット、チーク、ブラックチェリーが人気の樹種です。
引用元:マルホンHP.png)



木目で選ぶ方もいますが、一般的には色味や雰囲気で選ぶ方が多いです。
木目で決める人は、木材マニア寄りのこだわりです。


こんなにあると、何を選べばよいかわからないな

自分の家のテーマになるものだから、まずは見た目で決めてばよいよ。木目で選ぶというより、色味で選ぶことが多いよ。
何種類か好みのもの見つけよう

あまり難しく考えなくてよいのか
人と違うものを使い人には、「サペリ」がおすすめ
人と違うことをしたい人には、サペリという樹種がおすすめです。
サペリの赤褐色の深い色合いと縞模様は、モダンな空間にはスタイリッシュなアクセントを、クラシックな空間には重厚感を与えます。
実物を見ると、赤みが強く、グレーやブラックとの相性が良いのも特徴です。

私もサペリが気になり、朝日ウッドテック(メーカー)のショールームに行きました。
ショールームの方に聞くと、「正直、人気はないが、かなりおすすめ」と言っていました。
また、マルホン(メーカー)に行った際には、サペリの材料が入手困難なため、現品限りの案内になると聞きました。
聞き馴染みのない、樹種は入手困難なこともあり、個性をより出したいなら、選ぶ価値アリです。
塗装有り無し、塗装の種類でも個性がでる
フローリングの多くは透明な塗装をしています。
- 木材の保護と耐久性の向上
- 木目や質感の美しさを引き立てる
- メンテナンスのしやすさと長期的な美観維持
同じ樹種を選んでも、塗装の有無でも印象が変わります。
塗装をするとツヤが出ますので、どことなく作られた木に見えてしまうのがデメリットです。
フローリングの塗装の種類は「ウレタン塗装」と「オイル塗装」の2種類があります。
下記は、「2種類の塗装」と「無塗装」の比較表です。
見た目 | 手触り | メンテナンス | 調湿性 | 耐水性・耐汚性 | 耐久性 | |
ウレタン塗装 | 光沢がありツヤが強い。木目がはっきり見える | 表面が硬くツルッとしている | ・汚れに強い、手入れ簡単 ・基本的にワックス不要。 ・傷がつくと補修が難しい | 塗膜で覆われているため木の呼吸が妨げられる | 水や汚れを弾き、メンテナンスが楽。傷もつきにくい | 高い耐久性。長期間使用可能 |
オイル塗装 | 木の色が濃くなり自然な濡れ色。ツヤは控えめ | サラッとして木のぬくもりを感じる | 定期的なオイル塗布要 | 木の調湿作用を発揮可能。無塗装に劣る | 水分に弱く汚れや傷がつきやすい | 定期的なメンテナンスで長持ち |
無塗装 | 木そのままの色でやや白っぽく見える。ツヤなし | 木の素朴な質感そのまま | 汚れやすい、手入れ要 | 木の調湿作用をそのまま発揮 | 水や汚れに弱く、傷やシミがつきやすい | 保護がないため傷みやすい |
木の質感を味わいたいなら、
無塗装>オイル塗装>ウレタン塗装
メンテナンス性重視なら、
ウレタン塗装>オイル塗装>無塗装
複合フローリングはウレタン塗装の採用率が高いです。
一方、無垢フローリングは、オイル塗装または無塗装が主流です。理由は、木の本来の味わいを生かすためです。

塗装を施してあっても経年変化(エイジング)はするの?

塗装を施しても、経年変化(エイジング)はするよ
ただし、塗装している方が経年変化(エイジング)のスピードは遅くなるよ
幅の重要性 → 高級感を出したいなら、幅広を選ぶべき
幅の広さは、部屋の印象に大きく影響します。

通常サイズ(90mm・120mm)より、幅広(150mm)フローリングの方が、空間を広く見せる効果あり、高級感がでます。
幅広の多くは、挽板になります。理由は、寸法に安定性があり、表面材も2〜4mmと厚く、熱で伸縮しても品質の担保ができるためです。

突板フローリングは、表面木材が薄いため、幅が広いフローリングでは表面の強度や耐久性が不足しやすく、傷や剥がれが発生しやすくなります。そのため、幅広の商品が少ないです。
無垢フローリングは、1枚板を使っているため、反りや曲がり防止のため、最大でも120mmです。
通常幅や幅広の選択がそもそもないものもありますが、朝日ウッドテックはバリエーションが多くあります。ショールームに行くと見比べることができます。
費用

好みのフローリングが見つかったら、次に気になるのが「費用」です。
フローリングの価格は、素材やメーカーによって大きく差があります。
特に無垢材は、珍しい樹種や仕上げ方法によって価格が跳ね上がることもあります。
中には80,000円/㎡以上するような高級品も存在します。
以下は、フローリングの種類ごとのおおよその材料費相場です。
種類 | おおよその材料相場 |
---|---|
無垢フローリング | 5,000~24,000円/㎡ |
挽板フローリング | 6,000~14,000円/㎡ |
突板フローリング | 4,000~8,000円/㎡ |
シートフローリング | 2,000~5,000円/㎡ |
質感や風合いの美しさを重視するなら、無垢材か挽板フローリングが選ばれる傾向にあります。
ただし、予算との兼ね合いは必須です。
たとえば、挽板と突板では1.5〜2倍ほどの価格差が出ます。
50 m2をフローリングする場合
挽板 10,000円/m2 × 50m2 =500,000円
突板 6,000円/m2 × 50m2 =300,000円
この差額の20万円をかけるかどうかの判断になります。
また、組み合わせることも可能です。
全体コストを抑えつつ、見た目の満足度もUPすることができます・
無垢フローリングの罠
商品によっては、無垢フローリングが複合フローリングより安い場合があります。
「なんか、安くでき、無垢が選べるなら無垢にしよう」と思っている人は注意が必要です。

ショールームに行ってきたけど、無垢フローリングが思いのほか、安かったから無垢に決めようと思うんだ

ちょっと待って!
施工費のことも考慮したの?

施工費?なんのことだ?

ショールームでの見積は、商品の金額だよ
実際にかかる費用は、「商品代」+「施工費」だよ

ショールームでもらった見積りだけで決めるところだった

無垢フローリングは、他のフローリングに比べると、木材の伸び縮みを考慮して、施工するから手間がかかるんだよ
そのため、他のフローリングより「施工費」が高くなるのが一般的だよ

「商品代」+「施工費」のトータルで費用を考えないといけないんだね。今、気づいてよかった!
フローリングの費用は「材料費+施工費」のトータル金額で判断すべきです。
おすすめは、気に入ったフローリングを2〜3種類ピックアップして、施工会社に見積もりを取ることです。
会社によって、施工費の計算方法が異なるため、同じフローリングでも金額が大きく変わる可能性があります。また、掛け率によっても商品の仕入れ価格が変わります。
- 【知っておくべき建築知識】掛け率
-
建設業界以外の人は馴染みがないかもしれませんが、掛け率という文化があります。
「掛け率=値引き率」と考えた方がわかりやすいです。
あなたが建材を直接メーカーから買うことは、特殊な場合を除いてありません。
一般的には、物流経路は下記になります。メーカー → 商社 → リノベーション会社やハウスメーカー → 購入者
✳︎ハウスメーカーが大手だと商社を挟まない場合もある
メーカーはあくまでも定価は教えてくれますが、メーカーから商社への卸値(販売価格)はブラックボックスです。
年間取引金額や量が多いほど、卸値は安くなります。
商社などの中間マージンを載せた分がリノベーション会社からもらうあなたの見積書に反映されています。掛け率計算例リクシルのキッチン ノクトシリーズ
リクシルメーカー価格が100万円※だったとします(メーカーからもらう見積価格)
- A社リノベーション会社 70%
- B社リノベーション会社 60%
金額に換算すると
- A社リノベーション会社 100万円 × 70% =70万円
(リノベーション会社からもらう見積価格) - B社リノベーション会社 100万円 × 60% =60万円
(リノベーション会社からもらう見積価格)
B社の方が10万円安いことになります
※は参考価格
メンテナンス
フローリング選びで見落としがちなのが「メンテナンス性」です。
木は生き物です。特に無垢フローリングは時間とともに表情を変え、手入れをすることで味わいが増す素材です。
無垢のフローリングは無塗装やオイル塗装が多く、メンテナンスをする必要があります。
1年に1回、ワックスやオイルを塗り直すことで、長く良い状態で使用できます。(革製品と同じ考えです。味が出てきます)

一方、複合フローリング(挽板・突板・シートなど)は、ウレタン塗装が施されていることがほとんどです。
ウレタン塗装は強度が高く、ノーワックス対応の製品も多いため、掃除やお手入れが非常にラクです。
メンテナンス方法は、設計担当に聞くのもよいですが、ショールームへ行ってメーカーの人に聞くのが1番間違いありません。
体験談

最終的に私は、見た目で無垢フローリングを選びました。
結果、毎日このフローリングが良いなって思って生活をしており、その選択は間違っていませんでした。当然、メンテナンス性を考慮して、デメリットを理解し、決めたので後悔はしていません。
フローリングは、どれが正解というものではありません。
大切なのは、自分たちの暮らしに合うものを選ぶことです。
例えば、
・見た目も考慮しつつ、掃除のしやすさで選ぶ
・とにかく見た目重視で選ぶ
・無塗装の無垢フローリングで経年変化を楽しむ喜びで選ぶ
その他要素(ペット、床暖房)
忘れがちなこととして、下記の2点を選ぶときに考慮しましょう。
- ペットの防滑・防汚対策
- 床暖房対応可否
ペットと一緒に暮らしている人や将来的にペットを家族にしたい人は、フローリングを決める際にペット用フローリングの可否をよく検討しておくべきです。
床暖房に関しては、せっかく選んだのに使用できないでは、時間も無駄です。
床暖房が絶対条件という人は、最初の段階で床暖房可能なフローリングから選ぶようにしましょう。
ペット対応床(防滑処理フローリング)
猫や犬にとって滑りやすいフローリングは大敵です。すでに一緒に住まわれている人はご存じだと思いますが、走ったときに脱臼のリスクがあります。
フローリングメーカーによっては、滑りにくい特殊加工が施された「ペット用フローリング」も販売されています。
ただし、選べる種類は少なく、デザインの幅も狭いのが現状です。
【体験談】我が家も猫と暮らしています

我が家も猫がいます。賃貸住まいのときは、フローリングでの防滑対応ができませんでした。
そのため、自分でフローリングを選べるなら「絶対に滑りづらいフローリングを採用する」と思っていましたが、種類が少なく、自分好みのフローリングが見つかりませんでした。
途方に暮れている中、見つけたのが、フロアコーティングです。
フロアコーティングのメリット
・傷・汚れに強く掃除が楽
・滑り止め効果
・ランニングコストが低い
・見た目が美しくなる
・耐水性・耐薬品性
フロアコーティングのデメリット
・初期費用が高い(種類や面積によるが、目安10万円〜)
・一度施工すると簡単に剥がせない
・施工にプロの技術が必要
・仕上がりのイメージが分かりづらい
フロアコーティングは、防滑処理に加えて、粗相をしたときに掃除しやすいです。
金額的にちょっとという人には、防滑用のワックスをおすすめします。自分で行うと、1/20くらいの費用でできます。
ただし、フロアコーティングの方が20~30年と長持ちするため、メンテナンスフリーです。ワックスがけだと、自分で1年1回ワックスを行う必要があります。材料費だけでも5,000〜10,000円になります。
長い目でみれば、メンテナンスフリーのため、フロアコーティングがおすすめです。
なお「フロアコーティングをおすすめする理由」の記事も執筆中ですので、公開をお待ちください。
床暖房
床暖房を検討している人は、床暖房に対応可能か確認しましょう。
「あとから床暖房を入れようとしたら対応外のフローリングを選んでしまった」…そんな残念な事態を防ぐためにも、最初に床暖房対応のフローリングを選ぶのがポイントです。
床暖房は床面を温めるため、フローリング材には急激な温度変化による収縮や膨張に強い性能が求められます。
一般のフローリング材では温度変化で隙間や反りが生じやすいため、床暖房対応の専用フローリングを選ぶ必要があります。
特に無垢フローリングでは床暖房の制限がかなり出てきます。
【おさらい】選び方のポイント

「選び方のポイント」のおさらい
①まずは、見た目で選ぶ
→SNSや施工事例で好みのものを探す
②費用のバランスを考える
→3つくらい候補をあげて施工会社へ見積を依頼
③メンテナンス性を考える
→手間をかけたくないなら、ウレタン塗装の複合フローリングを選ぶ
④ペットと床暖房は、初期の段階で対応可なフローリングで検討する
→床暖房対応フローリング、防滑処理対応フローリング(気に入らないなら、フロアコーティングを検討)
フローリングを選ぶ上での注意事項

フローリングを選ぶ際には、見た目や価格だけでなく、住まい方や将来の変化も見据えた選択が大切です。ここでは、意外と見落としがちな注意点や、知っておきたい基礎知識をまとめました。
フローリングを選ぶ上での注意事項
・面積効果
・経年変化(エイジング)
・他の家具や設備機器との木目調と合わせるのは難しい
・キャラクター(個性)の有無
・厚み(ちょっと専門的)
面積効果を考慮する
面積効果とは、建築において、同じ色でも面積の大きさによって見え方が異なる現象です。
フローリングや壁紙の色選びの際に役立つ知識です。
面積効果の仕組み
面積が大きいと、色の持つ特徴が強調されて見える錯覚が起こります。
- 明るい色はより明るく
- 暗い色はより暗く
- 鮮やかな色はより鮮やかに
- 落ち着いた色はより落ち着く
失敗しないコツ
小さなサンプルを参考にしてフローリングを選ぶと、思っていたのとは違う色になりやすいです。
- 色の見本を見る時はなるべく大きいサイズにする
- 明るい色はワントーン暗めを、暗い色はワントーン明るめを選ぶ
仕上げ材のクロスや塗装色を決めるときにも使える知識です。
実際は設計士が教えてくれると思いますが、ポイントを知っていると知らないのでは、打合せの濃度も変わるので、ぜひ知っておいてください。
経年変化(エイジング)を考慮する
フローリングの経年変化(エイジング)とは、年月が経つことで床材の色や質感、艶(つや)などが自然に変化し、独特の風合いが生まれる現象をいいます。時間とともにその表情が大きく変わるのが特徴です。
- 紫外線(太陽光)
- 摩耗(歩行や家具の移動)
- 水分や湿気による劣化
- 油分や皮脂の蓄積
- ワックスや塗膜の劣化
- 化学薬品との反応
引用元:朝日ウッドテックHP-1024x299.jpg)
サンプルで届くのは左になります。数年経つと右の写真のように色味が変わります。
だいぶ違うことがわかります。
明るい色の木(パインやヒノキなど)は落ち着いた色合いに、オークやウォールナットなどはより深みのある色合いに変化します
カタログやサンプルだけで決めると引渡し検査のときに「イメージと違う」ということはよくある話です。
私も仕事柄わかっていましたが、検査のときに「本当に決めた品番ですよね?」と聞いたくらいイメージが違います。
フローリングにこだわりがある人は必ずショールームへ行ってください。経年変化前後を実物で確認できます。
他の家具や設備機器との木目調と合わせるのは難しい
リノベーションや注文住宅などは自分でフローリングを選べるのがメリットです。フローリングを扉やキッチンと合わせて一体感を出したくなります。
問題としては、木目の統一は意外と難しいです。木材の種類や印刷技術によって木目の出方が異なるため、完全に揃えるのは困難です。
解決策としては、同一メーカーにすると全体統一感が生まれます。
例えば、
・LIXILで床、扉、キッチンを統一する
・Panasonicで床、扉、キッチンを統一する
この問題を解決できるのが総合メーカーであるLIXILやPanasonicの強みです。
このように1つの守りたいルールが決まると、必然的に他のものが決まってきます。
私のおすすめは、キッチンとフローリングを早く決めることで、早めに他の品番もFIXして、全体金額もまとまります。
なお「設計打合せ事前準備編」に関する疑問を解決する記事も執筆中ですので、公開をお待ちください。
キャラクター(個性)の有無
「フローリングのキャラクター」とは、フローリング材に含まれる木の節(ふし)や色むらといった天然木特有の個性や表情のことをいいます。

これらのキャラクターは木材の自然な風合いを感じさせ、床に独特の味わいや温かみを与えます。キャラクターマークの多さで印象が変わります。
キャラクターが少ない方が材質の統一性があるとされ価格が高い傾向になります。
(節や色むらがない木材で統一されたフローリングが値段が高い)
A社とB社で同じ樹種で同じ塗装をしているフローリングで値段が違う理由の1つです。
キャラクターの有無は完全好みの問題になります。私自身は、キャラクターが多いほうが天然材らしい味わいや個性も楽しめるので、おすすめします。
フローリングの厚み(ちょっと専門的です。読み飛ばしOK)
無垢フローリングをリフォームや部分リノベーションで使用予定との人はフローリングの厚みに注意しましょう。
フローリング種類 | 厚み |
---|---|
無垢材 | 厚み15㎜以上 |
複合フローリング (挽板・突板) | 12㎜ |
シートフローリング | 2㎜ |
この厚みの差で問題が発生することがあります。
シートフローリングだった部屋を無垢のフローリングにリフォームする場合
15㎜-3㎜で12㎜段差ができます。扉を開ける方向が高くなると扉が開かなくなるので、扉工事も発生します。
フローリングだけの費用でなく、他の工事も発生する可能性があります。
部分リノベーションやリフォーム検討予定の人は、頭の片隅に入れておきましょう。
大手(有名)メーカー紹介
「フローリングは、どこの会社から選べばいいの?」という人は下記のメーカーがおすすめです。
メーカー | 特徴 | 公式HP |
---|---|---|
朝日ウッドテック | 高級感ある無垢材や突板フローリングが人気。ナチュラルで上質な木目。 | https://www.woodtec.co.jp/ |
マルホン | 高級無垢フローリング専門。チークやウォルナットなど世界の銘木を扱う。自然素材を重視する人に人気。 | https://www.mokuzai.com/ |
WOODONE(ウッドワン) | 無垢材に特化。ニュージーパイン材など、温かみのある天然木を使いたい人に人気。 | https://www.woodone.co.jp/ |
永大産業(EIDAI) | コストパフォーマンスに優れ、種類も豊富。シンプルなデザインが特徴。 | https://www.eidai.com/ |
ダイケン(DAIKEN) | 合板や特殊加工に強み。耐傷・耐水・防音性能など機能性の高い製品が豊富。 | https://www.daiken.jp/ |
パナソニック(Panasonic) | 建材総合メーカー。掃除しやすい、傷に強いなど機能性重視の製品が多い。 | https://sumai.panasonic.jp/interior/floor/ |
LIXIL(リクシル) | 建材総合メーカー。コーディネートしやすい定番デザイン多数。メンテナンス性が高い製品も多い。 | https://www.lixil.co.jp/lineup/livingroom_bedroom/detached/ |
朝日ウッドテックのショールームに行くと、経年変化(エイジング)のことがよくわかります。ショールームのアドバイザーも詳しく教えてくれるので、勉強になり、より商品の良し悪しが判断できるようになります。
建築の基本は現物を見ることです。
カタログやネットで見て色々と考えるより、少しでも気になるフローリングがあれば、ショールームに行った方が手っ取り早いです。
朝日ウッドテック以外のメーカーも良いので、まずはHPを見て、自分の好みのフローリングを見つけて、ショールームに行きましょう。
ショールームに行くと、問題が解決される
ショールームと聞くと水回りのイメージがあるかと思いますが、フローリングにもショールームがあります。
カタログやネットで調べて悩むより、聞きに行った方が早いです。
また、メーカーからリノベーション会社やリフォーム会社へ見積を送付してくれます。
- 経年変化を実物で確認できる
- 工事後のイメージと違ったが防げる
- 正しいメンテナンス方法を知ることができる
- 長く使用することができる
- 見積がもらえる
- メーカー→施工会社の連絡がスムーズになる
- 面積効果を確認できる
- 工事後のイメージと違ったが防げる
- サンプルをもらえる
- 色合わせで使用できるのが良い
- サンプルにワックスを塗るなど使い方は色々
- ホームページに載っていない施工事例を見せてくれる
- 工事後のイメージと違ったが防げる
- メーカーアドバイザーの意見も聞けるので、判断がしやすい
- 正しい情報が入るので、後々のトラブルがなくなる
大手メーカー(LIXILやPanasonic)だと総合ショールームになっており、まとめてキッチンなどの水回りと確認できることが多いです。
フローリングに少しでもこだわりがある人は必ず行ってください。
私はフローリング関連で計5社のショールームに行きました。
結果、満足できるフローリングを選ぶことができました。
下記は「ショールームの活用法」についての記事です。ぜひ参考にしてください。
≫≫【適切なタイミングと事前準備】ショールームに行って後悔しないリノベーション
≫≫【最大100万円も費用減も夢じゃない!】お得にリノベするなら、ショールームを回ろう
体験談

カタログを見て、「めっちゃいい」と思い、最終確認でショールームに行きましたが、思ったより色味にばらつきがあり、当初のものから変更をしました。
アドバイザーの人の説明を丁寧で、色々なエイジングの実物や施工事例を見せてもらえて、将来を含めて、安心してフローリングを決定することができました。
メンテナンス方法も直接聞けることはメリットがあります。リノベーション・リフォーム会社経由だとカタログに載っているような情報の伝達になるのが実情ですが、ショールームに行くと、「実際はこういう人もいますよ」とオフレコで教えてくれます。
挽板や突板のイメージはわかりづらいので、ショールームに行くと一発で違いがわかります。そして、挽板を使いたくなります。
【まとめ】マイホームのフローリングの選び方

フローリングの選び方は理解していただけたでしょうか。
フローリング決定までの進め方
- 気に入ったものを探す(施工事例・SNS等)
- 費用とのバランスを考える
- ショールームに行って実物を確認する
- メンテナンス方法や注意点を把握する
- 納得して決定する
このステップを踏むことで、
「工事後のイメージと違った…」
「数年後にこんなことになるなら、別のにしておけばよかった…」という後悔を防げます。
フローリングの種類別の選び方
・挽板(ひきいた)複合フローリング
→予算に余裕があるなら挽板一択!質感と耐久性のバランス ※おすすめ
・無垢フローリング
→自然素材や経年変化を楽しみたい、無添加派のあなたに
・突板(つきいた)複合フローリング
→コストは抑えたいけれど、見た目にもこだわりたい方におすすめ
・シートフローリング
→とにかくコスト重視(寝室やバックヤードへの利用がおすすめ)
フローリングは、マイホームの印象を左右する大事な要素です。
「毎日、気に入った床の上で生活できる」ということは、暮らしの質(QOL)を確実に高めてくれます。
この記事を通じて、あなたが理想のフローリングに出会えることを願っています。
今回も最後までご覧いただき、ありがとうございました。
リノベーションの魅力を発信しております。関連記事を読んでいただくと理解が深まると思います。ぜひご覧ください。
