【知らないと数百万円損】リノベーション工事請負契約時に7つの確認事項


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「工事請負契約」と聞いても、「なにそれ?」と思う人が大半ではないでしょうか。
言われるがまま契約を進めてしまうと、後で後悔する可能性が高くなります。
物件が決まって一息つきたいところですが、ここからは数百万円を支払わないとキャンセルできない重要なステップに入ります。
今回は、以下の悩みを解決します。
- 工事請負契約とは何?
- 契約時に何を注意すればいいの?
- いつ工事請負契約をするの?
- キャンセル費用いくらかかるの?
- 万が一の場合のキャンセル費用はいつ発生するの?
この記事を最後まで読んでいただくと、リノベーション工事における工事請負契約の注意点を理解し、後悔のないリノベーションを進めるための知識が身につきます。
できるようになります。
購入者目線でわかりやすく解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
工事請負契約とは?

工事請負契約とは、リノベーション工事を行う際に、リノベーション会社と結ぶ契約です。
この契約を締結することで、リノベーション会社は設計・工事を完成させる義務を負い、あなたはその対価として工事費を支払うことを約束します。
ワンストップ型のリノベーション会社の場合、設計から施工までを一社で完結するため、契約は1つにまとまるのが一般的です。
この契約を結ぶことで、正式にリノベーション会社が決定します。
物件探しから工事請負契約までに半年以上かかる人も多いため、ここが大きな節目となります。
また、物件探しの段階でコンサルティング契約を結んでいた人は、この時点で契約が「工事請負契約」に切り替わることになります。
一方で、コンサルティング契約なしで進めていた場合、ここで初めて正式な契約を結ぶことになります。
契約前後のステップ

良いリノベーション会社を見つけることが成功への第一歩です。


物件申込みと同時期がおすすめです。

契約をすると、だだで戻ることはできません。
本記事はここの詳細記事

法律上も自分の持ち家になります。
住宅ローンの支払いがスタート
3〜6ヶ月で工事をして、引越し、新生活スタート
工事請負契約の時期は物件決定後すぐ
リノベーション用の物件に申し込みをした後、次のステップとして「工事請負契約」を結ぶことになります。
この契約は、リノベーション会社やショールームで行うのが一般的で、所要時間は1〜2時間程度です。
工事請負契約を物件決定後すぐに結ぶ理由は、以下になります。
- リノベーションの設計・工事計画を本格化できる
- 早めに契約を結ぶことで、リノベーション会社がスムーズに工事の準備を進めることができる
- 住宅ローンの本審査に必要
- リノベーション費用を含めた住宅ローンを利用する場合、工事請負契約書が本審査に必要
- 契約が遅れると、住宅ローン審査の手続きも遅れ、引渡しや工事のスケジュールに影響を与える可能性有
- スケジュールを確定しやすくなる
- マンションによっては工事の申請手続きに時間がかかることもあり、余裕を持って進めることができる
- 工事請負契約を早めに結ぶことで、工事の着工時期を調整しやすくなるため、引渡し後すぐに着工できる可能性が高まる
- 資金計画を確定しやすくなる
- リノベーション費用が金額が決まらないと、いくらローンを組めばよいかわららない
工事請負契約後は、キャンセル料(違約金)が発生する
工事請負契約を結び、その後、あなた自身の理由で契約を解除する(リノベーションをしない)とキャンセル料(違約金)が発生します。
キャンセル料(違約金)の具体例
着工前だと工事費用の5〜20%がキャンセル料(違約金)の相場になります。
勢いよく契約をしたが、思ったリノベーションができない場合で契約を解約したい場合は下記の金額を支払う必要があります。
プランが確定に近づいていくとキャンセル料(違約金)の割合が上がるのが一般的です。
(着工前5%、プラン確定前20%など)
それに加えて、不動産売買契約の違約金(売買契約の解除)が発生します。
相場としては、契約時に支払った手付金を放棄(一般的に5%〜10%)になります。
それ以上の被害を売主に与えれば、日本では少ないですが、売主から訴訟も可能になります。
リノベーション用のマンションを購入したが、思ったリノベーションができないから不動産売買契約を解約したい場合は下記の金額を支払う必要があります。
リノベーションできそうな物件を何も考えずに契約して、請負請負契約を済ませたあとに「思ったリノベーションができない解約をしたい」となると下記の金額を支払う必要があります。
300〜700万円となると、引き下がることができず、普通の人は妥協をして、このまま進めることになってしまいます。
「希望のリノベーションができない」「予算も収まらない」と最悪の結果を招くことになります。
【リノベーション会社目線】ここが勝負どころ
リノベーション会社にとって、工事請負契約は「ノルマ達成の瞬間」。
ここを超えれば、基本的に売上が確定するため、契約前後では営業トークのテンションが変わることもあります。
- 「このプランで問題ないですよ」 → まだ細かい仕様を詰めてないのに?
- 「皆さんこのタイミングで契約されてます」 → 他人は関係ない
- 「契約後も変更できます!」 → 変更できるけど、追加費用が発生することがほとんど
ネガティブな話(制約やリスク)は、あえて言われないことも多いです。
だからこそ、納得できるまで質問することが大切です。
なんなく、契約書に押印していくのではなく、理解できるまで説明してもらうことをおすすめします。
聞かぬが一生の恥で終わればよいですが、恥ではなく、数百万の勉強代を払うこともなってしまいます。
工事請負契約時に7つの確認事項

契約を勢いのまま進めてしまい、あれ思っていたのと違うということに後で気づいたときにはもう手遅れです。
最悪の場合、工事請負契約前であれば、被害は最小で済みます(コンサル料を諦める程度)
これ以上進むと、不動産売買契約は完了し、工事請負契約も完了となると、数百万単位で損失が出ます。
ここを適当に済ませると、
- 予算が収まらず、妥協したマイホームになる
- 希望入居時期に間に合わない
- 希望したものを諦める
- リノベーション費用が増額する
そうならないために、下記の7つを確認しましょう。
- リノベーション図面
- リノベーション工事金額(見積)
- 仕様を確認
- 引渡し日(リノベーション工事完了後)
- 設計打合せ回数が適切かを確認
- 支払い条件・時期
- 隠れ費用の確認(リノベーション会社以外に支払う費用)
①リノベーション図面
- あなたの希望が図面に反映されていますか?
リノベーション図面の確認をしましょう。
特に図面が出てこない場合は、「契約をするのを待ってください!」
スケージュール感は、物件の申込みから概ね2周間前後で物件の本契約(内金支払い)になります。
不動産売買契約や工事請負契約の契約後、解約する場合はキャンセル料が発生します。
良くないリノベーション会社は、「そんな短い期間では図面はできない」「図面は後で出す」と言って契約を迫ることがありますが、これには注意が必要です。
リノベーション内容があいまいなまま、契約を結ぶのは大変危険です。
設計士は工事請負契約後に打合せに参加することが多いのです。
そのため、リノベーションの計画は進んでいない段階でも、少なくとも手書きや簡単な間取り図は用意してもらうべきです。
もし、図面すら出せない業者に対して契約を結ぼうとするのであれば、そのリノベーション会社は避けるべきです。
きれいな図面ができなくても、最低限必要な情報は提供されるべきです。
約束で契約するの怖くないですか?
最悪リノベーション会社ができると言って契約した場合は、負担の軽減はできる可能性はゼロではないですが、不動産売買は第三者になりますので、リノベーションができないから解約だと言っても当たり前ですが、聞いてもらえません。
②リノベーション工事金額(見積)
図面と仕様(次項で説明)により、リノベーション費用が算出されます。
この金額があなたの予算を超えていないか確認してください。
初歩的な確認ですが大事です。
- あなたの希望する金額に納まっているか?
この項目は丁寧に説明を受けてください。
リノベーション工事金額(見積)の確認をおろそかにすると、
工事に入っている思っていた工事が入っておらず、予定しない追加工事が後々判明し、予算が足りず、本来やりたかった工事ができなくなる可能性が出ます。
見積のリノベーション費用が高い
リノベーション費用は自分の予定していた金額より高く出てくることがあります。
住宅ローンが影響しています。
住宅費用とリノベーション費用を合わせて、住宅ローンを組む場合は、工事請負契約と工事金額がわかる資料を求められます。
住宅ローンは事前審査の借入金額より本審査の借入金額を高くすることができないためです。
リノベーション会社の担当いわく「予算が収まらなかったときに備えて高めに出して、審査を通して最終は予定の金額に収める」とのことです。
最終のリノベーション費用は当初見積の1.2〜1.5倍になると言われております。
私は1.3倍くらいになりました。どうしても欲が出てきていまします。
私は追加になることは自分の性格上予想していましたので、ローンで見込まず、もしものときのヘソクリで対応しました。
下記は「リノベーション費用を抑える方法」についてまとた記事です。ぜひ参考にしてください。

③仕様を確認
見積の仕様とは、見積書や見積依頼書において、対象となる工事や製品の具体的な内容や条件を明確にするために記載される項目です。
これにより、見積金額の根拠や前提条件が明確化され、あなたとリノベーション会社の間で認識のズレを防ぐ役割を果たします。
- あなたの希望のオプションは入っているか確認
名称 | 仕様 | 単位 | 単価 | 金額 | ||
キッチン | LIXLI ノクトシリーズ | 一式 | ¥1,000,000 | ¥1,000,000 | ||
キッチン | 食洗機 リンナイ フロントオープン | 一式 | ¥1,000,000 | ¥1,000,000 | ||
小計 | 一式 | ¥2,000,000 |
特にあなたが打合せ時に希望した項目や仕様が入っているかを確認してください。
この仕様の確認をおろそかにすると、
キッチンはこのシリーズが良かったや見積に食洗機が入っていると思っていたなど、気づくのは設計打合せのタイミングです。
その時には後の祭りです。
④引渡し日(リノベーション工事完了後)
今後のスケジュールを再確認しましょう。
- 希望時期に入居できるかを確認
特に守りたい日がある人は、引渡日の日程+引越し期間が考慮されているか確認してください。
特別の日が仮になかったとしても引渡日は早いに越したことはありません。
「工事期間が長い=費用が上がる」が基本です。
賃貸住まいの人であれば、解約日は日割りでお金が戻ってくるの一般的です。
リノベーション会社は、バッファーを取りたがります。
おそらく本来の工期(工事期間)+1ヶ月程度は余力をみています。
私もゼネコン勤務で工事側の気持ちはわかりますが、購入者としては厄介です。
工事に詳しくない人は適切かわからないと思いますが、まずは希望日を伝えましょう。
引渡し日(リノベーション工事完了後)の確認をおろそかにすると、
- 特別の日までに引越できず、子どもに残念な思いをさせてしまう
- 本来支払わなくてよい費用が発生する
⑤追加・変更工事の扱いの確認
追加・変更工事の扱いの確認しましょう。
- 追加工事の費用負担は適切か?
- いつから変更扱いになるのか?
追加工事
リノベーションは解体から始まるため、不測事態が多いです。
このような問題が発生した費用は「あなたが支払う」「リノベーション会社の調査不足だから負担してもらう」といったお金の問題が発生します。
契約書上は、おそらく購入者が若干不利な条件になっていることが多いです。
契約時に知っておかないと、後ですごく損した気持ちになりますし、「大事なことなら言ってよ」と思ってしまいます。
変更工事
プランが確定した後で、変更すると一般的には「対応しない趣旨」「追加費用+手数料」「工事期間を延長」など記載している契約が多いです。
私も「完璧」と思って仕事と同様に力を注ぎ、プランを確定させていました。
しかし、確定後、少しでも良くしたいと思う欲が出てしまい、変更工事が発生しました。
最終プラン確定後の変更は追加工事+手数料が発生する契約でした。
ただし、理解して契約したので「手数料はしょうがない」と思い気持ちよく支払うことができました。なんとなく契約をしていたら、とても損をした気持ちになり、その工事を変更しなかった可能性があります。
⑤設計打合せ回数が適切かを確認
- リノベーションであれば、設計打合せ5〜6回が目安。多い分には良い。
何回を予定しているかです。
設計打合せは5〜6回が多いですが、2週に1度の場合が多いので、2.5〜3ヶ月かかります。
ただし、成り行きで決めてしまったリノベーション会社が経費削減のため、打合せ回数は4回までそれ以降は別途費用相談のようなこともゼロでありません。
⑥支払い条件・時期
多くの場合、工事着工前に1/3、工事中間時に1/3、最終で1/3が一般的です。
部分リノベーションだと条件が変わってくる可能があります。
- あなたが支払える予定になっているか
⑦隠れ費用(リノベーション会社以外に支払う費用)
隠れ費用の確認をしましょう。
リノベーション会社に支払う費用だけがリノベーション工事にかかる費用ではありません。
- 購入者負担のものは事前に把握をしておく
隠れ費用とは、リノベーション会社には支払わないが、自分で契約して支払う金額のことです。
- 工事中の水道代・電気代
- 工事期間中に購入物件の支払う必要がある
- 住所変更登記(所有者の住所変更)が2回になることが一般的
- 移転登記時と引越し後で住所を変更するため
- 本設の照明器具費用
- ダクトレールを取り入れた人は照明本体も入っているか確認

この他にもリノベーション会社の特有な費用や購入物件の特有な費用が発生する場合がありますので、確認しましょう。
工事中の水道代・電気代
今住んでいる家とリノベーション工事中の新居でダブルで支払いになりますので、結構痛手になります。
この物価上昇の中だと、水道・電気代で月10,000〜20,000円になる人が多いです。
フルリノベーションだと工事期間が半年になりますので、60,000〜120,000円になります。
住所変更登記(所有者の住所変更)が2回
ただの住宅購入であれば、住所移転登記の費用は1回で済みます。
しかし、リノベーション工事では工事後に+αで現住所から新居へもう1回住所変更登記をする必要があります。金額でいうと10,000〜20,000円になります。
【まとめ】工事請負契約時に7つの確認事項

工事請負契約時に7つの確認事項は理解していただけたでしょうか?
おさらいになります。
- リノベーション図面
- リノベーション工事金額(見積)
- 仕様を確認
- 引渡し日(リノベーション工事完了後)
- 設計打合せ回数が適切かを確認
- 支払い条件・時期
- 隠れ費用の確認(リノベーション会社以外に支払う費用)
これらの確認事項をおろそかにすると、後々、数百万円の損失を避けることができなくなります。工事請負契約時にしっかり確認し、後悔のないリノベーションを実現するためには、この段階での確認が極めて重要です。
今回も最後までご覧いただき、ありがとうございました。
リノベーションの魅力を発信しております。
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